
コラム
インボイス制度の影響と税理士業界の変化
近年、日本の経済環境は大きく変化しており、多くの企業が様々な課題に直面しています。特に注目すべきは、インボイス制度の導入が企業や専門家に与える影響です。本記事では、最新の調査結果をもとに、インボイス制度が税理士業界に及ぼす影響と、企業の休廃業動向について解説します。
企業の休廃業・解散動向
帝国データバンクの調査によると、2023年中に休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む)は5万9105件に達し、前年比110.6%と急増しました。この増加の背景には、以下のような要因が考えられます:
・各種支援策の縮小
・物価高の影響
・人手不足問題に伴う人件費負担の増加
・インボイス制度の導入による経営環境の変化
これらの要因が重なり、多くの中小企業が「事業継続か否か」の決断を迫られ、やむを得ず「あきらめ廃業」を選択する事例が増加しています。
税理士業界への影響
注目すべきは、この廃業増加傾向が税理士業界にも及んでいることです。帝国データバンクの「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2023)」によると、税理士事務所の廃業数は2022年の30件から2023年には81件へと増加し、前年比170%増という驚異的な伸びを示しました。
税理士業界がこのような状況に陥った背景には、以下のような要因があると考えられます:
・税理士の高齢化問題
・競争激化による顧問企業の減少
・顧問料の低下傾向
・インボイス制度導入に伴う業務の複雑化
特にインボイス制度の導入は、税理士業界に大きな影響を与えています。多くの税理士事務所が、新制度への対応に向けて業務の見直しや新たなスキルの習得を迫られる中、一部の事務所では「あきらめ廃業」を選択せざるを得ない状況に追い込まれています。
社会保険労務士業界の動向
興味深いことに、社会保険労務士(社労士)事務所も同様の傾向を示しています。2023年の廃業率は5.24%で、税理士事務所(4.97%)を上回る結果となりました。この背景には、税理士業界と共通する課題があると推測されます。
特に、インボイス制度の登録事業者になるか否かの判断が、多くの社労士事務所の存続に関わる重要な決断となっていると考えられます。
今後の展望と対策
インボイス制度の導入は、確かに多くの事業者にとって大きな変化をもたらします。しかし、この変化を前向きに捉え、新たなビジネスチャンスとして活用することも可能です。
税理士や社労士といった専門家は、この変化に適応し、クライアントに対してより高度なサービスを提供することで、自身の価値を高めることができるでしょう。例えば:
・インボイス制度に関する詳細な知識を習得し、クライアントに的確なアドバイスを提供する
・デジタル化やIT化を推進し、業務の効率化を図る
・特定の業界や分野に特化したサービスを展開し、差別化を図る
・他の専門家との連携を強化し、総合的なサービスを提供する
これらの取り組みにより、変化する環境下でも競争力を維持し、成長を続けることが可能となります。
まとめ
インボイス制度の導入は、確かに多くの事業者にとって大きな課題となっています。しかし、この変化を機会と捉え、適切に対応することで、新たな成長の糸口を見出すことができるはずです。
私たちスリードアーズ税務会計事務所は、この変化の中でクライアントの皆様をサポートし、共に成長していく所存です。インボイス制度や経営課題に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。専門家一同、誠心誠意対応させていただきます。