時事解説
好循環のインフレに転換できるか その2:デマンドプル型とコストプッシュ型
インフレーションは経済の重要な要素ですが、理解するのは難しいことがあります。ここでは、デマンドプル型インフレとコストプッシュ型インフレの二つの異なる形態を掘り下げ、その特徴と影響を詳しく見ていきましょう。
デマンドプル型インフレ:需要の増加が引き金
デマンドプル型インフレは、需要の増加によって引き起こされます。このタイプでは、消費者の需要が先に高まり、それが売上の増加に繋がります。売上が増えれば企業は賃金を上げる余裕が生まれ、これがさらなる需要の拡大を促します。要するに、「需要の拡大 → 売上の増加 → 賃金の上昇 → 需要のさらなる拡大」という好循環が生まれるのです。
コストプッシュ型インフレ:コストの増加が圧力
一方、コストプッシュ型インフレは、原材料や人件費などのコストの上昇が引き金となります。この場合、売上は変わらずにコストだけが増えるため、企業の利益が圧迫されます。多くの企業はこの圧力に対処するために、他の経費を削減するか、コスト増を製品価格に転嫁しようとします。しかし、コロナ禍のような不透明な経済環境では、消費者の需要が低迷し、価格の引き上げは逆に売上の減少を招く可能性があります。つまり、コストプッシュ型インフレは「コスト増 → 利益の圧迫 → 経費削減や価格転嫁 → 消費者需要の低下」という悪循環に陥りがちです。
スタグフレーション:不況下のインフレ
これらのインフレタイプが同時に進行すると、スタグフレーション、つまり不況下のインフレが発生するリスクがあります。この状況では、経済成長が停滞しつつもインフレが進行し、企業と消費者の双方にとって厳しい状況が生じます。
この図は、これらのインフレタイプとそれに関連する経済循環を示しています。このように理解することで、インフレが経済に与える影響をより深く理解し、適切な対策を講じることができます。