時事解説
エネルギー安定供給と脱炭素を両立させるCCSとは その2
記事提供者:日本ビジネスプラン株式会社
脱炭素化の取り組みが進む中、CCS(Carbon Capture and Storage:CO2の回収・貯留)技術が大きな注目を集めています。この技術は、火力発電などで発生するCO2を回収し、地中に安全に貯留することによって、温室効果ガスの排出を大幅に削減することができます。日本は、既存のエネルギーインフラを維持しつつ、脱炭素化を推進するこの技術に大きな期待を寄せています。
国内の貯留候補地と地元自治体の理解
日本は地理的に多くの貯留候補地を持っていますが、普及には地元自治体の理解と安全性の確保が鍵となります。海外での実績は、地元自治体との調整において有利な材料となり、この技術の普及を後押ししています。
政府の支援と法整備
政府はCCS技術の研究開発やパイロット事業への支援を進めており、関連法の整備も着実に進められています。これらの政策は、CCS技術の導入と普及を加速させる重要な要素です。
企業の取り組み
三菱重工業、大阪ガス、JERAなど、多数の日本企業がCCS事業に参入しています。これらの企業は、CCS技術の実用化に向けて、重要な役割を担っています。
日本の強み:一貫したCCSバリューチェーン
日本の最大の強みは、CCSの一貫したバリューチェーンを持っていることです。このバリューチェーンは、CO2の分離回収から始まり、液化輸送、パイプラインを通じた輸送、地中貯留、そしてトータルエンジニアリングに至るまで、多岐にわたる技術を含んでいます。日本はこれらの各工程で高い技術力を有しています。
世界の動向
欧州や英国では国の支援により、CCS技術の導入が進められています。米国ではインフレ抑制法(IRA)を通じてエネルギーおよび気候変動分野への支援が行われており、CCSに対する補助金も増加しています。エクソンモービルなどの大手企業もCCS事業に参入しています。コストなどの課題は残っていますが、世界各国が実用化に向けた課題解決に取り組んでいます。